小説技法講座

大ブン動会(第2回紅白) 開催間近!
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作品投下 H28.3.27~H28.4.3
投票期間 H28.4.11~H28.4.17
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ブーン系小説創作板(ファイナル)
http://jbbs.shitaraba.net/internet/21864/

布石と伏線を比べてみる


 

思いついたので、実験がてら書いてみる。

 

・どちらも物語を盛り上げるためにある

物語の紹介文やら感想文やら、とにかく大衆作品が褒められる点でよくあげられている印象がありますね。

でもこれらを混同する場合は多いです。なぜなら共通点があります。何かと言うと、三つとも、読者を刺激するために存在しているということ。

なんでこの二つを混同しがちか、という話はひとまずおいておきます。

それでは早速これら二つの違いを、簡単な例を交えて紹介しましょう。

・布石

例)

('A`)「朝一番に出社だよーっと。ん、これは……」

 

('A`)「これは、かつらじゃないか。一体だれの」


 

数時間後

 

ξ´・ω・`)ξ「みんなおはよう。今日も仕事だよ」

 

('A`)「……課長、髪型がいつもと違くないですか」

 

ξ´・ω・`)ξ「ははは、なんのことだか……」

 

('A`)「実は今朝こんなものを拾いまして」

 

「かつらを拾ったこと」が、後の「課長がかつらだとばれる」展開への布石となっています。

御覧のように、これは別にテクニックというわけではありません。物語の展開の仕方の一種、続く展開を予想させるという手法です。

 

・伏線

例)

( ^ω^)「社内旅行で気球に乗ることになったお! 楽しみだお!」

 

 ( ´・ω・`)「すまない、高いところは苦手なんだ」

 

( ^ω^)「お、課長そうなのかお。それじゃ待機場で待っていてくれお」
 

 ( ´・ω・`)ほっ」

 

数日後

 

ξ ´;ω;`)ξ「みんなすまない、私は実は……かつらを被っていたんだ」

 

(;^ω^)「な、なんだってー」

 

改めて、「高いところに行きたがらない」場面を読むと、強風に煽られてかつらが取れるのを恐れるために課長がそのような行動に出ているのだとわかります。

 

伏線は、言ってみれば「隠された布石」です。

作者からすれば、あの手この手で読者の布石に対する目を反らしているのです。なぜそのようなことをするかというと、こうすることで物語の裏にもう一つの筋書きを組み立てることになり、物語に深みを増すことができるからです。

 

しかし、この「隠された」という定義が曲者です。

はっきりいってしまえば、この定義は主観です。作者が隠したつもりでも、読者からはばればれなこともあります。

そもそも伏線だって、突き詰めれば布石を工夫したものにすぎません。伏線を指して布石と読んでも間違いとは言い切れないわけです。

 

 さて、その伏線ですが、工夫の仕方次第でこんな活用方法もあります。

 
 

・ミスリード

例)

(;^ω^)「会社の中にかつらがあるのを見つけたお。一体だれのなんだお」

 

(;^ω^)「うむむ、今日のうちではわかんなかったお」

 

次の日

( ^ω^)「社内旅行で気球に乗るお」

 

 ( ´・ω・`)「高いところ嫌なのね。待ってるわ」

 

( ^ω^)「はいだお」

 

数分後、待機場

 

('A`)「あれ、課長高いところ苦手なんすかwwwwだっさwwww」

 

 (;´・ω・`)「ぐぬぬ……」

 

数日後

 

(;A;)「すみません……そのかつら、俺のなんです」

 

(;^ω^) (;´・ω・`)なんだってー」

 

まず、かつらという情報を先に出します。

その後、課長が高いところ怖いという場面を出し、読者に、「あれ、課長って実はかつらなんじゃ」という疑惑を抱かせます。

ところが、実際にかつらなのは(‘A`)

読み返してみると、「待機場で課長を罵倒している」→「(‘A`)も待機場にいる」→「こいつこそが強風でかつらが飛ぶのを恐れたんじゃないか」ということがわかる。

 

この、甘い伏線に本当の伏線を重ねる手法のことをミスリードといいます。

伏線を、より読者を騙すために発展させた仕掛けです。物語が深くなる上に、読者への刺激にもなり、面白いと思わせる起伏が生まれます。

 

 

・名前にこだわるとつらい

 そんなこんなで、まとめたいと思います。

 以上に述べた手法、どれもこれも、物語にメリハリをつける効果があります。隠された伏線が暴かれるのは当然楽しいだろうし、大きな布石でも、それがあまりに時間的間隔を開けて回収されたならば、人は面白いと感じます。謎解きは根本的に娯楽になりうるからです。

 あと、書き逃していたけど、伏線を最後に作中で指摘するかどうかもどうでもいいことです。ミステリだと、ある程度はそれをしないとまずいです。謎のままでほっとかれても困ります。

 隠して、お披露目する。簡単にいえばそれが伏線です。ばればれでも構わないです。気付いた人がすごいだけですから。

 そんなわけで、布石も伏線も大差ない、ということで話は終わりです。

 ただ、まあ、この短いコラムの例を思いつくのにも数時間かかったので、そう考えると楽しんでもらえたり凄いと思われた方がいいかな、と思ったり。




(湯呑) 

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   |  irー-、 ー ,} |    /     i
   | /   `X´ ヽ    /   入  |



('A`) ウボァー

('A`) アイデアが出ねー!!


川 ゚ -゚) そんなお悩みのあなたに!
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第三回 文学部天国教授

三( ゚天゚)

時の流れとは恐ろしいもので、前回の第二回を書いてから早くも一ヶ月近くが経過してしまった。
何故かくも更新が遅れてしまったかといえば、それは単にモンハンやポケモンのせいではない。
私は自分が書きたくない時、書けない時は何も書かないと決めている。これはいわば、素人の特権だ。

だいたい、考えに考えてもロクなものが出てこない時はどうしようもないのである。
そんな場合に無理をしても、結果として作品と読者、双方に無様を晒してしまうことになる。
なのでここは一つ足並みを揃えることに注力し、何も書かずに時がすぎるのを待つのだ。

そうやって時間が過ぎていき、やがて皺が増えて髪が抜け、死ぬのである。
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[小説講座]「書かない」ことが、なにより雄弁な地の文に!?


ξ#゚⊿゚)ξ ……

( 'ω`) ……


('A`) もう三十分も無言で向き合ってるけど

('A`) 何やってんの、あいつら?

川 ゚ -゚) うむ、それはな



――30分前――



ξ゚⊿゚)ξ ガサガサ

( ^ω^) おっ! うまそうだお!

ξ゚⊿゚)ξ 何よ、あげないわよ

ξ゚⊿゚)ξ このダークチェリーパイは私の大好物なんだから

( 'ω`) ……

ξ;゚⊿゚)ξ も、もうそんな顔しないでよ!

ξ;゚⊿゚)ξっ◇ しょうがないなあ……はい

( ^ω^) おっおっおっおっおっおっwwwwwwwwwwwwwww

( ^ω^) でも全部もらうのも悪いお! 半分こだお!



  ( ^ω^) パカッとな!
  (⊃◇⊂)



 Σ(^ω^) アッー
 ⊃◁  ▷⊂
    川
    ●



(;^ω^) ダ、ダークチェリーが……

ξ゚⊿゚)ξ ……



――――――――――――――



('A`) なるほど、そんな事件があったのか

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[湯呑的小説講座]構成論とは何でしょうか

・構成論はいっぱいあるよ


物語の構成について気になる方もたくさんいると思います。

起承転結や序破急などは教科書に載るくらい古くからある構成術ですし、映画や舞台の世界では三幕構成という理論も知られています。


だいたい構成というものは物語に限らないものです。

舞踊でも楽曲でも、大抵の時間的発展的概念を有する伝統芸能ならば構成術が存在しています。3区分なら序破急、守破離、習絶真

4区分なら起承転結、強いて言えば三幕構成

5区分なら起承鋪叙結、ソナタ、小ロンド、一般的な歌舞伎の構成

6区分なら起承鋪叙過結

区分で分けるような代物じゃないものならグランドホテル方式とか


軽くググってここまで出てくるんだからもっとたくさんあることでしょう。



・構成論ってなんだろうね?


さて、こうして多種多様な場面での構成論が存在する理由とは何なのか。

ここからは物語に絞って話します。


「構成論に則って作品を作る」というのは手段にすぎません。

構成論の目的は何なのでしょうか? その存在意義とは?

言うまでもなく、構成論に従えば面白い作品ができる! などというわけではありません。


ここで、三幕構成のお話をしましょう。

この概念を編み出したのはアリストテレスと言われています。

どうして彼はこの言葉を作り出したのか。

三幕構成で何か語ったのかな? と思うかもしれませんが、そうじゃありませんでした。

彼はギリシア悲劇を見聞きして、「物語って大体こういう構成になっているよね~」という意味でこの構成論を残したのです。



このとき


アリストテレスは言ってみれば「読者」でした。



構成論とはつまり、読者が物語の全体像を把握するために生み出された分類方法です。

だから構成論を検討する際には、必ず読者の視点を加えなければなりません。



・読者からみた構成論


過去にたくさん存在していた読者たちは何を思ってその分類を残したのか。

それは、率直に言ってしまえば面白かったからでしょう。

そして面白かった原因は何だったのかと研究した結果が、物語の構成論として残っているのです。


起承転結がよく知られているのは結局その構成で面白い物語があったからにすぎません。

この構成、一言で表せば「だんだんテンションが上がっていき終盤で弾ける物語」です。

……そりゃあ、面白いでしょうに。


序破急だって三幕構成だって、だんだん盛り上がるという意味では同じです。

ただそのバランスが違うだけなのです。



・構成論の正体


読者のテンションの波がどう動くか。

構成論はそれを形式化したものにすぎません。

王道の構成にはそれだけ読者をひきつける力がありますし、作者は参考にできます。


当然、形式に囚われない作品もあります。

そしてそれは何の問題もないことです。

それで読者が楽しめるなら、その作品は十分成功していると言えるのですから。




(湯呑) 

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